走れSMTPと2018年振り返りもどき

OSI参照モデル走れメロスで初めて小説書きました。
書いてて思ったけど、キソーな内容なのに人に説明できるほど理解が自分の中で根付いてなくて腑甲斐ない

メロヌは困惑した。必ず、かの無謬の叡智アマ=リの論文をシオリンティウスに届けねばならぬと決意した。メロヌには通信がわからぬ。 メロヌは、村の学生である。ほらを吹き、本と遊んで暮して来た。きょう未明メロヌは偶然にもアマ=リの論文を村を出た先の市にて見かけた。アマ=リとはメロヌの唯一無二の友人、シオリンティウスが愛してやまない偉人の一人である。メロヌはこの論文を我が友に渡したらきっと喜ぶだろうと思い買い取ることにした。友の渡した時の笑顔を想像しながら穏やかな気持ちで村に戻ったとき、メロヌはある事実を忘れていることを思い出した。シオリンティウスはついこの間サポッロという遠い国に引っ越してしまったのだ。いくらメロヌといえども、地の果てではなく海の果てまでは自らの足で赴くことはできない。メロヌは蒼白になった。

このことをシオリンティウスの弟子であるイシクロラトスに話すと「ならば光にて届ければよかろう。」と、その術を教えてくれた。すぐさまメロヌはエヌティという王国に行き、ルータを借り受けた。ネットという世界への門であり、自身の郵便受けともなる役割の道具が必要だったのである。その後メロヌは届けたかった論文と付属する手紙のメッセージを量子化した。
メロヌは論文を届けるために、アプリケーション層に手続きをしに向かった。イシクロラトスは「25番の扉を叩くべし」と言っていたので扁額に25と記されている門を探し、扉を叩いた。老爺が扉の中から現れメロヌを迎え入れた。

「こんにちは。今日は一体なんのご用でしょう」 「友に贈りたいものがあるのだ。」 「なるほど。あなたとそのご友人の宛先はご存知ですか」

メロヌはしばし返答に詰まったが、イシクロラトスがくれた数字と記号のの文字列が書かれた紙切れのことを思い出した。それを老爺に見せると「はい。わかりました。ではデータをお預かりします。」と頷いたので、メロヌは友への贈り物を渡した。

これで一件落着か、メロヌは心の中で息をついた。そして老爺に背を向け扉に足を進めようとすると後ろから静止の声がかかった。 「一体何用か」 「あなたはここへ来る過程すべてが初めてのように見えました。よければ、この贈り物が届けられていく過程を、一緒に見て行きませんか。」とても優しい声音だった。

トランスポート層?」メロヌは反復した。老爺は相槌を打ち、答える。
「大事なご友人への贈り物ですから、届ける途中で紛失や損壊したら困るでしょう。この階層では届けるという信頼性を高めるための手続きを行うのです。」
メロヌは自身の贈り物が新しい箱で包まれていく様が視界に焼きついた。その箱にはTCPと大きく書かれていた。
「あれは何をしているのだ。なぜ贈り物をまた新しく包むのだ」 「あの箱で包むことで、確実に届ける丁寧な手続きが踏めるのです。」 「とてもそんな風には見えないが。」 「わたしたちは電子の海を漂う魚ではありませんから。」老爺は微笑み、さてネットワーク層へとまた階段を降りましょうと促すのだった。

「ここでもまた新しい箱で贈り物を包むのだな。」IPと書かれた箱で包まれていく過程を見ながらメロヌは訪ねた。 「あの箱にはあなたとご友人の宛先の情報が入っているのですよ。宛がなければ贈り物といえども迷子になってしまいます。」 「なるほど。でもなぜ私の情報もいるのだ。」 「あなたのためでも、ご友人のためでもあるのです。あなたの情報も一緒に送れば、もし送り名が一緒の手紙があっても情報は一緒じゃないですから、区別することができます。ご友人に書いた覚えのない手紙があなたから送られてきた、なんてことが起きたら嫌でしょう」 「確かに、それは大いに困る。」メロヌは頷いた。

「きっとここでも新しい箱で包むのだろう?」データリンク層へと降り、すぐさまメロヌは問いかけた。 「ここではEtherと書かれている箱で包みます。これはご友人様へと贈り物を運ぶため必要なのです。あの箱に含まれる情報によってご友人様への運送経路が確立できるのです。」それには、メロヌ様自身の情報も必要ですが。と老爺は付け足した。 「ふむ。電子の海にも道案内がいるのだな。」 贈り物はEtherと書かれた箱でまたしても包まれていった。

「さて、いよいよご友人の元へと贈り物が届けられて行きますよ。ここが最後の階層の物理層です。」 「ここへ来る際、知人は光にて届ければよかろう。と言っていた。」 「はい、おっしゃる通りです。ここに来るまでの過程でいくつかの箱に包まれてきた贈り物を光、信号に直すのです。我々の世界は電離層と呼ばれている層に包まれています。この恩恵で、光であれば彗星万里、海の向こうであろうと贈り物を届けることができます。」 「もちろん、光のままでは贈り物は読むことも、箱から開けることすらもできません。なので届け先の物理層にて受け取った信号を箱に直すのです。その後は、私たちが降りてきたこの階層から上に箱を渡していき、ご友人の元へと読める形で送られていくのです。」

メロヌは箱をじっと見つめていた。瞬きの間に箱は消えていた。
「これで贈り物は彼方へと向かいましたよ。ご友人から返事の手紙があると良いですね。」

後日メロヌの郵便受けに手紙が入っていた。 送信先MAILER-DAEMONと書かれていた。

メロヌの贈り物は海の中か、あるいは雪の中へと埋まってしまったのだった。

〜完〜

2-3月にインターンしてたのがつい最近のように感じてしまうほどに2018年、あっという間に終わってしまった。
思えば大学2年生頃はとにかく勉強していればいつか報われるなんての信じながら熱意もなく本を読んでいたけど、ある論文読んでから双曲幾何学に興味が沸いて、そこからは志向を持って勉強するようになったかも。
手始めに位相空間論わかりてえ!と位相の本を読んで、高校数学ってすげーことやってたんじゃんヤバ・・・とか感動できて頭パンクしながらとても楽しかった。
あと色々読んできた論文の数学的な説明とか記述が読む前は「???」で流してたところところが、読んだ後だと「ウワ・・だからあの論文こういう説明してたのか・・」となる部分も出てきてよかった。

小学校の友達と話してて、自分の卒業文集に将来の夢は漫画家になりたいって書いてたのを内容にダメージ受けながら知った。
ある職に就くといった具体的な夢よりは、今は論文とか本に書かれた文章や言葉に今まで聞いたり読んできたりした内容との繋がりや身近な距離を感じ取れるような日々が送れたらいいなあ。なんというか、いつか社会人になって忙しい日々を送るけど、川で泳いでるカルガモをみて和みながらも「うわ〜カワイ〜あのカルガモが作る波紋って数式で表せるのか・・?」といった一瞬を流れる出来事にアンテナを張れる姿勢は持っていたいというか

でも文章や言葉はそれ以上でもそれ以下でもなくて、それに距離を与えるのも感じ取るのも自分だし、距離を与えるための道具は自分の経験というか思考?だしな、そういう意味では最終的には時間がほしーってなるのかな・・まあ5000兆円じゃなくていいから毎日5000円欲しい!!!とか落ち葉搔き集めるだけで褒められる東京トガリになりて〜とか思いながら過ごしてるけど・・・

9月にもインターンしてたけど、そのインターンでは自分の実力が乏しいせいで課題に悩むのも辛い悩み方にしまって、ちょっと鬱になってしまった。どうせ悩むならカードを増やして色んな角度から光を当てて課題とぶつかり合うような前向きな悩み方ができるようにしたい・・・したくない?

来年は自分のために勉強できる時間を増やせたらいいなあ。あとは上で述べた日々がうまく言葉にできたらいいんだけど。暗号を記号として見るのではなく、言葉として理解できる豊かさ的な